クリスマスの白い天使さん
私が小さい頃、日比谷に勤めていた叔父(母の末の弟)は、実家に遊びにやってくる時によく、都会のお土産を持ってきてくれた。
ある年のクリスマス、その叔父が天使のお人形を私にとプレゼントしてくれた。舶来風で電飾の仕込まれたキラキラの白い天使さんだ。
実家はツリーを飾るほど広くはなかったけれど、40cmほどの天使さんを飾るくらいの棚はあった。
高いところで光を放つ天使さんは、私にとってクリスマスの象徴だった。毎年、師走の音が聞こえる頃に倉庫から出して飾り、12月25日に仕舞っていた。
そのまま10年も経っただろうか。天使さんが薄汚れてきた頃に、私も純真な子供から生意気な10代に変わっていた。
「もう真っ黒ね。そろそろさよならする?」
母の言葉に私は全面的に賛成した。もう叔父も許してくれるだろう。どうしたかはよく覚えていないが、おそらく人形供養のお寺に持っていったかと思う。
さっき、駅前のイルミネーションを見て、クリスマスにはいつもあの天使さんがいてくれたことを急に思い出し、心に一筋のあたたかい光がさした。
白い電飾の天使さんを見て、クリスマスの訪れに胸を躍らし指折り数える感性が、まだ私に残っているだろうか。
(※画像はイメージです。ネットで拾ってきた画像です)
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