ぷらり途中下車の日々

長文です。
男前とサッカーに興味のない方には、読む価値はありません。

さて…。

スペインの敗退が決定し、ポルトガルも危ないということで、ふと5年前のことを思い出した。
俺さまが、数年ぶりにプレミアリーグ観戦を再開した頃の、俺の心境についてだ。

おらは、クリスチアーノ・ロナウドやフェルナンド・トーレスみたいな、ピカピカに整った美形男子で、なおかつバリバリのエースであるような存在、いわば完璧なスターが、あまり好きではない。

だから5年前の夏、クリスチアーノ・ロナウドがマンチェスター・ユナイテッドを出て行くと聞いて、逆に俺さまはプレミアリーグに飛びついたのだ。
「そうか。彼奴がいなくなるなら、安心して見られそう。何年かぶりにプレミアを見よう！ 今度はもっと、どっぷりハマろう！」

ところが、大きな問題がひとつ。
ビートルズが好きだからリバプールのファンになろう、と簡単に決めたまではよかったが、当時のリバプールで「バリバリのエース」だったのは、おらのいけ好かないタイプのフェルナンド・トーレスだったのだ。

しかし、自分の応援するチームの最高の貢献者でもあるエースの選手を、あまり好きではないという状態は、どう考えても健康的とはいえない。
おらは、トーレスを好きになろうと努力することにした。

さて、実際に試合を見るようになると、そんな努力はとくに必要ないのだと、すぐに気づいた。
現実にトーレスが次々と得点してくれる様子を見た俺さまは、またたく間に彼のことを好きになった。

動画サイトで見られる、彼の過去のゴールを集めたコンピレーションムービーの数々にも、おらはすっかり魅了された。
リアルタイムで見るゴールも、動画で見られる過去のゴールも、どれもこれもすばらしかった。

俺さまは、彼を好きになれて本当によかったと思いながら、喜んで声援を送っていた。

ああ、それなのに…である。
1年ちょっと後に、トーレスはこともあろうにライバルチームのチェルシーに、強引な電撃移籍を果たした。
せっかく好きになったのに、こんな仕打ちで返されるとは…。

不思議と、かわいさ余って憎さ百倍ということはなく、好きな気持ちに変わりはなかったので、一応「がんばってね」の思いで、その時は見送った。

にもかかわらず、その後トーレスは低迷した。
現在に到るまで、チェルシーでも代表でも、今ひとつ、いや今九つくらい、パッとしない。
そして、彼の苦しむ様子を横目で見ていても、もうどうでもいいとしか感じない自分がいた。
正直、他人事である。

なんだか残念だ。
元々好きじゃないものを、縁あって応援する立場になり、幸運にも好きになることができた。
でも結局、どうでもよい存在になった。
せっかくのご縁が、もったいない結果になった。

そんなわけで、さよなら、スペイン！

トーレス、ピークは短かったね。
このまま、リバプール在籍初期の黄金期がすべてだった、ということになってしまうのかな。

それでも、あなたのサッカー人生はまだまだ続くよ。
残酷なことに…。
だから今こそ、この言葉を送ろう。
「がんばってね」